TOWER 11 温泉&サウナプロジェクト秘話 ととのえ親方と協作 世界初の「汗戦浴」北海道ボールパークFビレッジ

TOWER 11 温泉&サウナ
プロジェクト秘話
ととのえ親方と協作
世界初の「汗戦浴」
北海道ボールパーク
Fビレッジ

ノムログ編集部
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北海道ボールパークFビレッジに誕生した、世界初の野球観戦ができる天然温泉&サウナ施設「tower eleven onsen & sauna。北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」が一望できる観戦×温泉&サウナを組み合わせた「汗戦浴」という新たなスタイルが開業前から大きな話題となりました。

乃村工藝社は、「誰も経験したことのない新しい観戦体験の創出」をテーマに総力を結集し、北海道ボールパークFビレッジ内の複数エリアの企画・デザイン・設計・施工を担当しています。中でも「tower eleven」棟に於いては「tower eleven hotel」と「tower eleven onsen & sauna」を計画段階より施工まで、幅広い年齢層と様々なキャリアを持ったプロジェクトチームで担当させて頂きました。

プロジェクトチームメンバー 営業・プロジェクトマネジメント:前川盛次・小笹恒、プランニングディレクター:坂爪研一、デザインディレクター:松原美和、デザイン設計:松澤景・中川郁啓・藤中康平、サイン設計:伊藤友美、プロダクトディレクター:中島久・遠藤直樹・伊藤 匡哉、設備設計:中島忠宏・坪井優也

関連記事:北海道ボールパークFビレッジ プランナーが仕掛ける新たな空間・体験価値創造

今回は、乃村工藝社プランニングディレクターの坂爪が、世界に例のなかった球場×温泉&サウナのプロジェクトを実現されたファイターズ小川様と、サウナを監修された昨今のサウナブームの火付け役、ととのえ親方と共に当時を振り返りながら、他ではみられないプロジェクト実現の裏に隠されたストーリーをご紹介します。

左|乃村工藝社プランニングディレクター坂爪 中央|ファイターズ小川さん 右|ととのえ親方(松尾 大さん)

➊出会い|お互いの印象、乃村工藝社プランナーのイメージ

坂爪
今回のプロジェクト、ものすごくインパクトが強いメンバーでしたよね。まずはお互いの第一印象から振り返りましょうか。

ととのえ親方
小川さんはとにかくスマートで賢い方だなって。

坂爪
そうそう、若くしてこんなに大きなプロジェクトを率いているなんて、凄いなって。チームのメンバーも若くて、ガンガン進めるパワーに圧倒されましたよね。

小川さん
ととのえ親方と初めてお会いした時、パスポートを財布代わりにしていて、ファンキーな方だなって思いましたね(笑)でもお話するとさすが、サウナの全てを知っている。国内外の様々なサウナに実際に足を運ばれ、文化の違いや異なる世界観を実体験として教えていただいたので、本当に参考になる話ばかりでした。自分も世界中の球場・スタジアムを見て回るのが好きなのですが、親方のようなサウナのプロにご一緒頂けたら球場内にも面白い施設・空間ができるのではないかとワクワクしたのを覚えています。

ととのえ親方
僕は乃村工藝社さんのことを以前から施設の実績などで知っていて。組んだのは初めてだったんですけど。

坂爪
え、そうなんですか! 乃村工藝社のプランナーという職種の人が出てきた時はどう思われましたか? デザイナーだと空間デザインを担当するイメージが湧きやすいと思うのですが、プランナーってどういう印象でしたか?

小川さん
乃村工藝社さんは施設をたくさん手がけられていらっしゃいますよね。その中で、「ここの運営をどう考えるか?何人が同時に滞在できて、快適に過ごせるか?」、「そもそも事業として成立するのか?」という会話に対して、デザイナーさんとプランナーさんそれぞれの視点でお話を返してもらっていたので、両者の役割はすんなり入ってきました。

坂爪
意外と空間創造に特化したプランナーって世界的にみても少ないんですよね。サウナーという職業と同じかもしれません(笑)

ととのえ親方
サウナ―もね、意味のわからない職業ですよね(笑)坂爪さんは「人はこう考える」という視点をよく理解されているので、「こういうものが必要かもしれない」「人の流れがこうなるはずだから、プランはこうしよう」とか、温浴業界の方々があまり考えない所を見られていて。乃村工藝社さん独特の視点だなって思いました。

坂爪
そういう意味では、温浴以外の施設を数多く手がけてきましたので、その経験を活かすことができたと思います。ただ今回は、温浴&サウナという特殊なプロジェクトで、ととのえ親方のようなサウナのプロがいて、小川さんのような事業主のプロがいて、凄い密度で打合せを重ね、いろいろな議論を重ねていったプロジェクトで、とても勉強させていただきました。

ちなみに、私は「プランナーは話題を創る(仕込む)」という意識で取り組んでいました。

小川さん
確かにPRという仕掛けもあるし、事業そのものが行けるかどうか、という所まで考えていただいたので、プランナーの領域ってとても広いですよね。企画によって話題をつくったり、事業をデザインするところまで入られていたように感じています。

❷はじまり|ファイターズさんの決意 

#ボールパークに温泉を掘る!?

坂爪
では事業のスタート地点のお話をしましょう。実は、私も親方も知らないのでお聞きしたかったのですが、ここに温泉を掘った経緯について教えてください。

小川さん
温泉は最初から掘ろうと決めていたんです。このスタジアム事業を進めるにあたって「北海道ならでは」と「世界初」って何だろう?とずっと考えていまして。天然温泉に入りながら観戦できるスタジアムは世界になかったんですよね。それで「世界初」、そしてそれを北海道でやることに意味があると考えて、最初から温泉ありきで考えていました。1,300メートル、掘りました!

ととのえ親方
温泉が出て良かったですよね(笑)

小川さん
分かりやすくヌメっとした触感と泉質の良さも好評で。

坂爪
最初に小川さんからいただいた温泉の図面では、男女分かれた内湯でしたよね。そしてテナントが入る予定だった。そこからプロジェクトに参加されている多くの方々の視点やアイデアが入り混じり、我々も全力でサポートさせて頂きました。

ととのえ親方
最初の図面ってこうなっていたんですね! 今振り返ると面白い(笑)

小川さん
そうなんです、1年ほど頑張ってテナントを探したのですが、結局見つからず…「それなら自分たちでやろう!」と思い立ったんです。その時点で、親方とはご縁があって既にお会いしていたので、「やっぱりサウナでやるべきだ」と思ったタイミングでお声がけしました。

❸ととのえ親方が温泉&サウナプロジェクトに参加!

#「観戦浴」から「汗戦浴」へ

坂爪
そんなおふたりの出会いの裏で、乃村工藝社チームも粛々と検証を進めていました。当初は「野球でビールを飲みながら観戦する」イメージを伺っていたので、お風呂でのぼせないようにと、私も「足湯でビール」はどうかと提案しましたが、小川さんには「足湯は古い!」って言われて(笑)

*野球観戦を主とした「観戦浴」(提案時図面)

この図面段階でのデザイナーの提案は「観戦浴」。球場の観戦座席を温浴にも反映させた立体的なひな壇プランで、アカウントと制作チームも頭を悩ませながら取り組みましたが、思った以上に下地コストが膨らみ断念。他にも数多くの案が検討されました。

ととのえ親方
いろいろ皆、長いこと考えていたんですね!!

小川さん
視認性、荷重、室内化するか、オープンエアにするか等々、投資コストも含めていろいろと検討しましたよね。

坂爪
最終的に床はフラットなプランとなりましたが、投資コストの削減を意識しつつファイターズさん側から出た要望のひとつが“水着で温泉に入る”ことでした。水着でお風呂にすると、浴槽がひとつで済む。「水着で混浴?水着でビール!」など、水着で楽しむ温浴サウナのシーンはプロジェクトチーム全員の妄想が膨らみ、面白くなっていったんです。そこで、デザイナーが思い切ってオープンエアにした提案を行い、臨場感あるプランの骨格ができました。

その裏で、最初のおふたりはどんな感じでスタートを?

小川さん
親方は二つ返事でお請け下さったのですが… 当時、いろいろ思う所があったのでは、と感じていたので、この機会にぜひお聞きしたいですね。

ととのえ親方
僕は本当に「これ、凄いことになるな!」と思ったんです。ちょうど日本のサウナが変わり始めていた頃で。第一印象としてはびっくりしましたし、このサウナムーブメントの中で、「“球場にサウナができる”というのは、とにかく凄いことになる! 大きなニュースのひとつになるな」っていう感覚でした。

坂爪
こうしてメンバーが揃って、関連施設を視察に行ったり、「男女混浴の水着でサウナってどうなんだろう?」という議論をたくさんしましたよね。男5人揃って、水着でサウナを体験しに行きましたよね~、懐かしい(笑)
男女混浴については親方から、世界では結構あっても日本ではあまり成功していないというお話もあって。

ととのえ親方
女性がお化粧直しを気にしたりしますからね。

坂爪
男女に分かれた個別サウナやドーム型サウナ、家族風呂やジャグジー付き等も検討されましたが、親方がプロジェクトに参画されたことで「こんな複雑じゃないんじゃないか」という疑問が投げかけられて、現プランの構成が固まりました。

小川さん
結果、シンプルになってとても良かったと思っています。

❹「観戦浴→汗戦浴」という新しいスタイル

坂爪
こうしていろいろありながら、サウナの発汗と、野球観戦をかけた「汗戦浴」という言葉が生まれ、野球観戦しながら“男女混浴のサウナ!”に決まったのですが、小川さんから「誰がサウナを使うか?」という話が出たので、年代別のターゲットを整理した資料をつくったりして…

*ターゲット×体験ニーズをまとめたマトリクス

ととのえ親方
こういうのをつくるのが、乃村工藝社さんだよね!

小川さん
私たちは野球の興行の観点で、社内でもいろいろと検討した結果を皆さんにぶつけて見てもらうプロセスはとても新鮮でした。自分たちが「こうでしょ」と思うことが、親方や乃村工藝社さんから「いや、そうじゃない」と想定していない意見をいただいて、腹落ちしていくまでにいろいろな視点があって、それがプラスになり、ベースになりましたね。

ととのえ親方
皆、言いたいことを言うためにアサインされているからね(笑)

坂爪
結果的に「若い人をターゲットにして野球場にも興味を持ってもらおう、若い人ならサウナ混浴も気にしないのでは?」と小川さんが決断されて、若者層も狙った、水着でサウナ&温浴案に収束していったんです。

小川さん
野球観戦の延長でいらっしゃる40代前後の既存のファンが多いんですよ。でもやっぱり新しい層にも来て欲しいと思いました。

坂爪
野球ファンの若返りですよね。この発想がないと未来が萎んできますからね。価格設定やお客さんが何分くらい滞在するか、といったこともリスト化して検証しましたね。

小川さん
ただ最後まで心配だったのは、キャパシティでした。混雑し過ぎて、せっかくの良い体験の満足度が下がってしまうことを懸念していました。

坂爪
キャパシティのシミュレーションも散々しましたよね。お客様の行動パターンを想定して、どのエリアに何人同時に滞在するのか…
試合終了後は一斉にシャワーを浴びるから「大混雑」に耐えられるシャワーブース数に設定したり、実際にオープンしてみると、皆さん3時間くらい楽しそうにいらっしゃるんですよね。

小川さん
そうなんです。試合を見に来ている人たちは長居していますね。サウナハットをかぶって座り込んでいる方も多くて。

ととのえ親方
一般的な女性のサウナ利用は、だいたい2時間はかかりますが、3時間は凄いですね。

坂爪
そこにビールがあることも長居のきっかけでしょうね。みんな「旨そう」に飲んでますよ(笑)

小川さん
開業して1ヶ月の状況としては、試合のある日は回転が遅くなりますが、混み過ぎず満足度は高く、客単価も高くなっています。一方で試合のない日は回転が速くてキャパが1.5倍くらいするので、状況が見えてきましたね。

tower eleven onsen & sauna

<おすすめの楽しみ方>1、サウナ2、水風呂                                                     3、露天風呂
4、ととのえテラスシート

❺常識をくつがえしたサウナ

坂爪
「一番、僕がやられた!」と思ったのは、“ととのえテラスシート”(サウナ、水風呂の後に行う“外気浴”ができる座席)の話。ファイターズさんとの協議の中で、「お風呂は後ろで、最前列は席だ!」となった時がありまして。

ととのえ親方
あー、よく覚えています!「最前列には“絵”をつくった方がいい」と話したんですよ。一番前に座りたい人はたくさんいますし。

坂爪
僕にはその発想なかったな~って。お風呂が最前列の提案でしたよね。みなさんのぼせるだろうから、回転よくみんなが入れる露天風呂になるんじゃないかと想像していました。親方の中ではサウナハットをかぶった人たちが楽しそうに観戦しているシーンが目に浮かんでいたんですね。まさにそこがプレミアムにもなる、と仰って。

ととのえ親方
「“ととのえテラスシート”に座りたい!」と方々から言われています(笑)

小川さん
最前列の“ととのえテラスシート”はすぐ完売しているんですよ。坂爪さんが提案していた世界観の内湯(温泉)の方も「ここ意外と穴場!」とゆったり観戦している方々もいらっしゃいます。

ととのえ親方
あと“立ちサウナ!”、これは新鮮だったな~。

坂爪
デザイナーの松原さんが、混浴サウナだとどうしても女性は入りづらくなるので「スッと入って、サッと出る」みたいな、“立ちサウナ”のアイデアを提案したんですよね。

ととのえ親方
松原さんから「親方、立ったままで入るサウナにしたいのですが」と言われて、「えっ、衝撃です!それ、めっちゃいい!」と言って。誰もが気兼ねなく利用できる工夫と、立つことが新たな観戦のスタイルにもつながっていいなと思って。世界にも無いんですよ、“立ちサウナ”。

坂爪
それから今回のサウナは空間が横に長いですよね。サウナストーブからの距離もあり、温度差が問題になっていたんですが、デザイナーの逆転の発想で面白くなりました。出入口に近い手前の立ちサウナゾーンは低めの温度で初心者用。サウナに慣れていない方もすぐに出られます。奥のストーブに近いゾーンは高温のプロサウナ―の世界。同じ空間にサウナ初心者からプロまで同居できる空間が強みになったんですよね。

ととのえ親方
サウナ室は同じ温度に保たれた部屋が常識ですからね。縦の温度の違いはあっても、横方向で温度が違うというのは、なかなか無いですよね。

坂爪
ここには「野球が見たいけど、サウナが初めて」という方もいらっしゃるので、皆が楽しめる空間になって良かったです。バットが写真映えもしますし!このバットを使うデザイン発想もデザインチームのこだわり部分ですね。

ととのえ親方
バントする方が多いですよね(笑)
ちなみに今も“モニター抜き(観客の様子をスタジアムのモニターに映すこと)”はしているんですか?


*サウナでバント写真

小川さん
はい、レギュラー化しようということで、お客様には事前にご承諾をいただいた上で、5回裏には映すようにしています。

ととのえ親方
それを目当てにいらっしゃる方もいそうですね!

❻北海道ボールパークFビレッジ開業 onsen & sauna高評価!

坂爪
実際に開業してから、想定通りだったこと、ギャップがあったことは何かありますか?

小川さん
僕が一番怖かったのは、ここに何人入れるのが適正か、という視点で。実は、最初の3連戦はあまりチケットを売らなかったのです。1ヶ月くらい経って、やっと適正な人数が見えてきた、という感じです。空間のキャパとしては90人くらいいるとちょうど満杯で、でもチケット120枚売っても、全員が同じタイミングで来る訳ではないんですよね。

何度も来る方はいろいろ分かってきて、開場と同時に入って、ロッカーに荷物だけを預けて、コンコースに出て食事して、また戻ってきたり、他の方は試合前に入って、試合中には外に出て、また戻ってきたり、と再入場自由にしているんです。だんだんお客様の中で自分なりの使い方が浸透してきたように思います。

坂爪
ロッカーに荷物を置けるのがいいですよね。観客席では置けないので。

ととのえ親方
確かに! しかも終わった後すぐに帰らず、ここで過ごしていれば渋滞を避けられますしね。

小川さん
多様な居場所をつくっていただいたことで、本当に様々な過ごし方が生まれたと思います。それを実現できたのも温泉&サウナというコンテンツのおかげでしたね。

❼未来へ向けて・・・

坂爪
このお仕事を通じて、いろいろな方から親方に「スタジアムにサウナをつくりたい」というアイディアが出ているようで(笑)

ととのえ親方
いろいろなスタジアムがありますからね。こういうこと、これからもやってみたいですね。

小川さん
スタジアム・スポーツという文脈でいくと、試合がない日も球場にどうやって賑わいを持たせて、地域にとって交流できる場所にするか、というのが大きな流れですが、温泉&サウナは日常的に立ち寄れるコンテンツでもあると思うので、うまく融合できたらいいなと思っています。

まだまだ試合のある日の集客が多いのが現状で、これからはいかに試合のない日に常態的に人で賑わっているシーンをつくっていけるか、チャレンジでもあるんですが、上手くやっていきたいなと思っています。

坂爪
僕は何度もここに通う時に、北広島駅からタクシーを待っている人に話しかけて、いろいろと感想を聞いたりしていたんですよ。「ボールパークの中で温泉&サウナは一番行きたい場所だ」という話が多くて。多様な使い方があることで「野球場がこんなに楽しいところだと思わなかった」「野球ファンではないけどここに来たい」という声もたくさん聞きました。当初の目的であった「新しいファンを増やす」「野球ファン以外の人たちが来れる」というのは達成できたと感じています。

ととのえ親方
本当にサウナ界ではひとつのムーブメントとして、凄くたくさんの人に話しかけられました。情報解禁前はいろいろなメディアから聞かれましたよ(笑)すごく話題になりまして。あとは、こんなに人数が動いたサウナはこれまでの経験に無くて… 50人くらい?最終的には100人くらいだったかな。まさに“チームでつくったサウナ”です。

坂爪
嬉しかったのは、チームの方々から「乃村工藝社さんと組むと、いろいろな問題が起こっても誰かがリカバーして進めてくれるから、仕事がストップしなくて助かるんだよね」と言われたことですね。

小川さん
納期をしっかりおさえてくれる安心感がありましたよ。

ととのえ親方
サウナ室から球場が見える、というのは本当に常識外れで。通常は中が見えないようにしないといけないですよね。でもそこを地域の関係各所も協力してくださって。あと窓を大きくして欲しい、とかいろいろ乃村工藝社さんに相談しましたね。

小川さん
今回の温泉&サウナは、このFビレッジ全体の肝のひとつだったので、僕はこの分野に対して半分素人でしたし、いいものをつくりたい!という想いで、いろいろな方にお声がけして教えていただきながらのお仕事でした。

親和性という意味では、Fビレッジの目指す世界感として球場と周辺を含めて多種多様、大小様々なコミュニティが集積し、いたるところにサードプレイスのような居心地の良い場ができることを目指しています。温泉やサウナは日常的に人が来ることで、集まってコミュニティができる文化だと思うので、そういった意味でも試合がある日でもない日でも、多様な人が来て、つながりができて、文化やコミュニティが醸成される…そんな素敵な場所になると思って取り組んでいましたので、これからが楽しみですね。

坂爪
このプロジェクトは、足掛け約5年というスパンで対応させていただきました。「スポーツと街づくりの可能性」については様々な知見が増えましたし、「多様な観戦スタイル」という発想からは、他業種への応用も視野に、いろいろなアイデアが浮かんできそうです。

我々、乃村工藝社チームとしても、「世界初!」というタイトルを実現させるのに相応しいメンバーが集まり、それぞれがプロとして総力を結集し取り組めたこと、チームメンバーの汗と涙の結晶の様で感慨深く思います。また、親方やファイターズの皆様、関わったすべての皆様のご尽力により、最終的に素晴らしい施設が完成し、お客様にも喜んで頂けたことを心から嬉しく思います。そして何より、お二人とファイターズのみなさんと出会えたことが、未来を「面白く変えてゆく」きっかけになれたので、ぜひ、また、どこかでご一緒しましょう!

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PROFILE


小川 太郎|(株)ファイターズ スポーツ&エンターテイメント
事業統轄本部 ファシリティ&ディベロップメント部 部長
慶應義塾大学総合政策学部卒。丸紅株式会社にて約7年間海外プラント建設案件に従事、ベトナムやシンガポールでプラント建設プロジェクトの組成・履行を手掛ける。その後、スペインのIESE Business School にてMBA取得。卒業後ファイターズに転職、ボールパーク構想の推進を担当。開発・設計施工のプロジェクトマネジメントを担うと共に、TOWER 11のホテル温浴事業や球場内ブルワリー「そらとしば by よなよなエール」を立ち上げた。
北海道ボールパークFビレッジ|https://www.hkdballpark.com/


ととのえ親方(松尾 大)| TTNE(株)プロサウナー
複数の会社を経営する傍ら、全国のサウナ施設のプロデュースを手掛ける実業家にしてプロサウナー。「SAUNACHELIN(サウナシュラン)」や「日本サウナ学会」設立など、昨今のサウナムーブメントを牽引。代表的なサウナプロジェクトは、3D加工で木材を削り出し”うねり”を生み出した三次元デザインサウナ「北こぶし知床」、建築界の最高栄誉といわれる「プリツカー賞」授賞の世界的建築家・坂茂氏とタッグを組んだ「スイデンテラス」、大迫力のドラゴンサウナが目玉の「スパメッツァおおたか 竜泉寺の湯」など。
TTNE株式会社|https://ttne.jp/agent/dai-matsuo/


坂爪 研一 | (株)乃村工藝社 プランニングディレクター
1991年入社。大型複合施設、パーキングエリア、神社活性化、温浴施設、展望台、動物園、キャンプ場等、幅広い守備範囲と実績を持つ。主な施設として、東京スカイツリータウン®、神田明神文化交流館、東北自動車道羽生PA鬼平江戸処等。
近年では、地方創生、道の駅、テーマパーク、農業関連施設等、より広範囲な施設のプロデュースを手掛けている。商品開発、業態開発、事業開発から街づくりまで、トータルな視点で「集客」をテーマに、未来を創りだしている。
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企画・編集・撮影:岡崎 広子(ノムログ編集部)
文:横田 智子(ノムログ編集部)

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“空間と体験”を追求するチーム
プロの目線で“空間と体験”の可能性を切り取ります

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