ワークプレイスで、社員の健康意識を高める。

岡本 悠雅
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岡本 悠雅

2021年3月、株式会社乃村工藝社(以降:乃村工藝社)は本社の隣のビルに、新たなオフィスをオープンしました。

こんな時代にオープンするからこそ、このオフィスでは未来のワークプレイスに必要なものを探っていくことを目指しました。
その中でも、社員のコミュニケーションスペースであるRESET SPACE_2(以降:RE/SP_2)では、
実際の空間を使いながら、働き方・コミュニケーション・健康などに関する様々なコンテンツを実験的に実装しています。

RE/SP_2は、乃村工藝社グループの個性豊かな社員が自由に過ごせるよう「UNIQUE PARK」をコンセプトにデザインしています。

今回は、その数あるコンテンツの中でも、私が企画を担当したUNIQUE/FOOD/SELECTIONというコンテンツについてご説明します。
このUNIQUE/FOOD/SELECTIONという名前には、この場所に集まる乃村工藝社グループの個性豊かな社員が、それぞれの個性に合わせて好きな食事を選択でき、「選ぶ楽しさや食べる楽しさ」を改めて味わってほしいという思いを込めています。
また、健康経営を推進する乃村工藝社として、このUNIQUE/FOOD/SELECTIONでは、「社員の健康意識を高める」ということを目標に社員に豊かな食体験を提供しています。

健康になるかどうかを決めるのはあくまで社員であり、私たちができるのはそのきっかけを作ること、
そして、そのきっかけをいかにポジティブで楽しい体験として提供できるかを考える、ということだと思っています。だからこそ、「社員を健康にする」のではなく、「社員の健康意識を高める」ということを大切にしています。

白いタイルが象徴的な帯状のゾーンが、UNIQUE/FOOD/SELECTIONです。

鍵は能動的な食体験

「料理をする人は、料理をしない人に比べて長生きする傾向がある。」
そんな先行研究をもとに、私たちは「料理を例とした能動的な食体験は、それを習慣化することで、 人々を健康的な食習慣へと導くことができるのではないか。」という仮説を立てました。

そこで、このUNIQUE/FOOD/SELECTIONではその仮説をもとに、社員が選ぶ楽しさ・食べる楽しさを再認識し、少しでも能動的な食体験を楽しめるように以下のステップを作りました。

食材を選び、盛り付けるお皿を選び、食べる環境を選ぶ。
商品を買って終わりではなく、「食」にまつわる様々な体験を能動的に選択することが、毎日の食事を豊かにするとともに、私たちを健康的な食生活へと導いてくれます。

エリアの中心となる場所では、蛍光のパネルにこの企画のコンセプトと3つのステップを表示して情報を発信しています。

ステップ1 食事を選ぶ

気分に応じて楽しみながら食事を選べるよう、様々な自動販売機(以降:自販機)で食事を提供しています。

自販機には全てラッピング・塗装をおこない、空間のデザインとなじむ工夫をしています。

いつでも・誰でも・簡単に

手法として自販機を利用した理由は、運営負荷が低く、いつでもだれでも簡単に商品を購入できるからです。また、非接触で商品を購入できる点やいざという時の備蓄品となる点も、このご時世だと大きな魅力になると思います。
いたってシンプルなことかもしれませんが、働き方も異なる乃村工藝社グループの様々な社員が集まり、自由な過ごし方を実現するこの場所では、
健康的で自分の好きな食事を「いつでも・誰でも・簡単に」利用できるということが、一番大切だと思っています。

健康的で豊富な選択肢を用意する

よく街中で見かけるような飲料専用のものだけではなく、食品なども販売できる冷凍自販機や冷蔵自販機などを用意することで多種多様な商品を販売できるよう工夫しています。

実際にこの場所では、ご飯、パン、お惣菜、スープ、サラダなどメインの食事になるようなものに加え、お菓子やフルーツ、お酒(終業後に購入可能)など社員の休憩のお供になるものや、コミュニケーションを活性化させるような商品も取りそろえています。

お菓子やドリンクを片手に雑談やクイックな打ち合わせができるよう、カウンターを設置。周りの空間次第で自販機のイメージも大きく変えられます。

また、これらの自販機は自社で機体を購入し、中の商品も自分たちでセレクトしました。また、日々の受発注などの商品管理も含めた運営まで、グループ会社と連携を取りながら行っています。
商品に関しては、自販機ごとに商品を仕入れている食品メーカー様も異なっており、今回の企画をご理解いただいた上で、添加物や人工甘味料などにも配慮した商品かつ、自販機内のサイズに合うものを考えながら、商品選定の協議を重ねました。

選択を楽しくする仕組みを作る

一部の自販機には、頑張りたい社員のための「FIGHT」やひと息つきたい社員のための「REFRESH」など、社員の悩みに寄り添うタグを表示し、選びやすい工夫をしています。
また、タグを通して食材がもつ効能についても理解を深め、普段の食習慣を見直すきっかけになることを目指しています。

ステップ2 お皿を選ぶ

私たちの味覚は驚くほど見た目に影響されています。
コンビニの惣菜も美しいお皿に盛り付けることでぐっと美味しく感じます。そんなお皿に盛りつけることの大切さを再認識してもらうために、形状も色も異なる様々なお皿を用意しました。

また、波佐見焼や有田焼、柳宗理のカトラリーなど本物にこだわった食器を能動的に選ぶことで、楽しみながら「自分だけのオリジナル定食」をつくることができます。
また、普段使い捨て容器のまま食べている商品も、お皿に盛りつけると意外とボリュームがあることに気づき、食べ過ぎ防止につながります。盛り付けるというひと手間が社員の健康意識と美意識を育み、豊かな食生活へと導いていきます。

実際に自販機で買った商品をお皿に盛り付けて、オリジナル定食を作ってみました。

ステップ3 環境を選ぶ

仕事をするデスクで食事をすることは、健康にあまりよくないと言われています。
一人で食べると自然と早食いとなり、血糖値が急激に上昇するため眠くなります。また、満腹感が得られないので食べ過ぎにも繋がります。さらに働く環境と同じなので、心が休まらず午後のパフォーマンスが低下します。

そこで、社員に食事をする環境を選ぶ豊かさを再認識してもらうために、色や素材、形、着座人数などが異なる、様々なテーブルやチェアを用意しました。窓際で観覧⾞を眺めたり、緑に囲まれてリフレッシュしたり、みんなで円卓を囲んだり。その日の気分や天気、食べる人数によって居心地の良い食事環境を能動的に選択することで社員がより豊かな食体験を味わうことができると考えています。

外部パートナーとの連携

今回は、食や健康といった普段の業務とは異なる分野での取り組みだったので、心強いおふたりの外部パートナーにサポートをいただきながら企画を詰めていきました。

「料理をする人は、しない人に比べて長生きする傾向にある」という先行研究や、コンセプトの根本にある「能動的食体験」という概念をご教授いただいたうえで、プロジェクトの初期段階から併走してアドバイスをいただきました。HPはこちら

自動販売機の商品選定において、栄養学的目線で選定基準などのアドバイスをいただきました。
また、商品につける4種類のタグや、おすすめの組み合わせメニューなど、社員に対する情報発信のサポートも連携しました。

最後に

今回ご紹介した取り組みは、まだまだこれで完成ではありません。
運用を続けながら、実際に利用者の反応を見て商品を入れ替えたり、提供方法を工夫したりすることで、コンテンツをアップデートし続けることが重要だと思っています。また、コロナが落ち着いたら、自販機でご協力いただいている食品メーカー様やご協力いただいたパートナーの方々とも食や健康にまつわるイベントをこの場所で開催し、社員に対しての情報発信も行っていく予定です。

最後に、今回ご紹介したRESET SPACE_2(RE/SP_2)をバーチャルツアーで体験したい方はこちら
本社には、コミュニケーションスペースRESET SPACE(RE/SP)があります。バーチャルツアーはこちら
新オフィスに関するプレスリリースも、併せてこちらからご覧ください。

※写真はすべて平時の使用をイメージして撮影したものです。
当社は新型コロナウイルス感染症防止対策を最優先に事業活動に取り組んでいます。
基本的な感染対策に加えて、2021年7月1日現在、原則在宅勤務とし、オフィス運営にあたっても共有スペース
での飲食禁止、イベント開催の禁止など特別措置を講じています。

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岡本 悠雅

岡本 悠雅

企画はコミュニケーション
共創が愉しみです

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