空間は意思を伝達するメディア?

渡辺 あや
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渡辺 あや

入社2年目、出社はたったの52日。NOMLABというチームに配属されてから1年たちますが、私はその半分以上は在宅で業務にあたっていました。まさに誰にとっても前代未聞の業務環境であり、様々な意見や考察が発信されていますが、私にとっても改めて空間について考え、プランナーとしてもリアル空間について考える良い環境を持てた機会となりました。早速振り返ってみたいと思います。

2019年に乃村工藝社に入社。自分が思い描いていた2年目を過ごせたか?

新型コロナウイルス感染症が流行り始める前までは内装工事の現場で施工管理研修をしていました。遠方出張や夜勤があり、同じメンバーで現場にいることが多かったので、部署を超えた社内コミュニティの形成は比較的難しい点がありました。

ぼんやりと「企画の部署でプランナーになると、いろんな人たちと交流して空間に関する知識を深めたり、様々な話題で議論をしたりする時間が増えるだろうなぁ」とワクワクしていましたが、配属されるといきなり在宅勤務がスタートしました。環境の変化に戸惑うのは皆さん同じだったと思いますが、特に新入社員にとっては新しい言葉や作業の内容、仕事に関連するメンバーや協力社のことなど、教えて欲しいことは山ほどありました。コロナ前は当たり前だった、隣に顔を向けたら歳の近い先輩がいて、ちょっと聞いてみたいことを聞いて教えてもらうということは、もちろんできません。

そんな在宅勤務ですが、始めてみた頃の所感では、良いこともありました。今まで通勤に使っていた時間を有効活用することができたり、家族と会話する時間が増えたりするなど、プライベートの時間がかなり充実しました。ちなみに、この新しく生まれたスキマ時間で、朝の通勤(するはずだった)時間は運動をしたり、ごはんをきちんと食べたりすることに使いました。

一方で仕事の面では、前述の通り新しい環境に配属されたら環境に慣れ仕事を覚えていくために「人との出会い」「偶発的な会話や議論」「気軽に話しかけられる先輩の存在」などに特に期待をしていました。ところが在宅勤務によって日中はほぼ一人で作業、必要な質問などは適宜ツールを使って行うなど、想像とは全く違った業務環境になってしまい、思い描いていた社会人生活とはかけ離れたものになりました。

オフィスを離れて在宅勤務を行う人たちのコロナ時代の「新入社員あるある」

ネットで少し検索をかけると、在宅勤務に関する考察がいくつも掲載されていますが、必ず出てくる内容は「コミュニケーションに関する課題」。具体的には下記に示したとおりですが、これは対面して仕事をすることが減り、オンラインでの業務やコミュニケーションが主体となった今年の「新入社員あるある」なのでしょう。私も共感する部分が多いです。

<新入社員がコミュニケーションについて主に悩んでいること>

・同期とコミュニケーションが取りづらい
・上司や先輩と距離が縮まらない
・上司に質問や相談がしにくい

参考元:
2020年卒の新入社員 テレワークで人間関係に悩み 先輩や上司に求めることは?
https://www3.nhk.or.jp/news/special/news_seminar/syukatsu/syukatsu542/
コロナ禍における新入社員の受け入れや定着・育成に関する調査結果を発表 在宅勤務の新入社員の課題1位は「同期とのコミュニケーション」。51.4%が課題抱える。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000459.000016451.html

こういった状況は、顔の見えないオンラインだからこそ生まれた悩みです。コミュニケーションとは日本語にすると「知覚・感情・思考の伝達」(広辞苑より)。空間がなくなったことによってこのような課題を感じるようになったのであれば、空間とはやはり意思を伝達する「メディア」だったのだなぁということを改めて認識します。「空気を読む」という言葉があるようにリアルな場でないとわからない雰囲気や感情のようなものを伝える媒体となるのが空間であり、今の段階では在宅勤務でこれを伝える手段はありません。例えば、ほんの少しのことでわからないことがあって誰かに聞きたい時、先輩のオンライン会議システムのステータスがいくら「連絡可能」となっていても、様子がわからないため何度も連絡することは申し訳なく思います。会社で隣に座っている先輩の雰囲気を感じ取って「あの、すみません」と聞く方が質問するハードルはやっぱり低いですよね。

社内の様子も気になるので同期に聞いてみました。

(インタビュー時も緊急事態宣言が出ており、基本的に出社をせず在宅勤務でした。)

彼らも現場へ頻繁に行く業務に合わせて出社をしたりすることはあっても、基本的には在宅勤務で過ごしていたようです。また、配属されたばかりの新入社員にとっては、オンラインで進める業務は聞きたいことが大量かつ細切れに発生してしまうので、何度も先輩にチャットを送って聞くことに申し訳なくなるケースも少なくありません。やはりここでも上記の内容と同様、コミュニケーションの取り方が課題になっていますね。ヒアリングをしていく中で、これらを解消するために効果的であったと感じた印象的な取り組みがこちらです。

<コミュニケーションについて工夫していた取り組み>

オンラインでのルーム飲み会のメンバーに社内外のゲストを招待

ある部署では、チームの飲み会にチーム外からゲストを呼んでコミュニケーションをとっていました。飲み会というリラックスしたシーンで、普段業務で触れ合わない人とのコミュニケーションが取れることはリアルのそれと変わらず社内外の人間関係を築きやすいかもしれませんね。こちら、幹事担当が毎度変わるため、呼ばれるゲストも多種多様・・・などであればもっと楽しいかもしれませんね。

毎朝、数分の雑談時間をもうける(話題は自由)

私のケースですが、毎日OJTを担当している先輩と朝15分だけテレビ会議ツールをつないでコミュニケーションをとっています。業務の相談や最近行った施設の話もしますが、ほとんどはいわゆる「雑談」。昨日食べた夜ご飯の話や、テレビ番組の話、家族の話もします。なんでもない会話ですが、この取組があったことによって、業務が始まる前にスイッチが入るのはもちろん、個人的に先輩との距離が縮まったような気がしています。ここでは、先輩に日々気になっていること、わからないことなどの相談もしました。

リアルのオフィス空間ってありがたい。(まとめ)

新入社員にとって在宅勤務で仕事を覚えていくことに不安や焦りがありましたが、周りの先輩にチャットやメール、または電話して聞くことで解消されました。私が担当していた香港のある商業施設内の企業ミュージアムの案件では、業務を推進していくステップごとに上司にオンライン会議で進め方を確認していました。新入社員にとっては仕事の進め方一つをとっても、質問したいことが山ほどあり、わからないまま進めるほうが怖かったこともあります。何度も質問する私に丁寧に教えていただけたことが、確実に今業務を進めるうえでの知識に結びついていると思います。
しかし、そういった面で振り返ってみてもオフィスの存在はありがたかったなぁと思います。感染症対策の面から頻繁に行くことはなくなりましたが、オフィスという「空間」に足を踏み入れるとそこにいる人たちの感情や雰囲気などの情報を感じ取ることができるだけでなく、たわいもない「雑談」も生まれます。業務でのテレビ会議と違って、目的のない会話をしてもいいし、ほんの些細な質問も相談しやすい。業務が終了して休憩していたら、居合わせた人とリラックスした会話が生まれることもありますよね。
先ほども述べたように、「空間」とはやはり意思を伝達する「メディア」です。そういう雰囲気が作られるリアル空間だからこそ、会話をする相手のパーソナリティがよくわかり、新入社員にとっては新しいコミュニティへの参加ができ、仕事やプライベートに関してよりよいコミュニケーションや発想を生むことができるようになると思います。現段階では、仕事の進め方もコミュニケーションもニューノーマルな様式に慣れていき、その中で効果を最大化することが求められます。今回、自分の新入社員時代において「リアルのオフィス空間のありがたみ」を肌で感じることができ、またオンラインを活用して業務を推進することを経験できました。
この気づきと経験を大切に、「意思を伝達するメディア」としてのリアル空間作りにこれからも携わり続けたいと思います。

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ストーリープランナー
止まらない好奇心

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