海が見える空間で働く ワーケーション in 和歌山「南紀白浜」Vol.2

岡崎 広子
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岡崎 広子

コロナ禍でのワーク&ライフスタイルの変化に伴い、
従来の「場」や「空間」の捉え方も急速に変わりつつあります。

アフターコロナの社会を見据え、その変化を止めない「働き方や生活の多様性」を許容する
次世代空間の在り方を探るべく、まずは「ワーケーション」をテーマに取材を進めて参りました

前編はこちら)

今後、「ワーケーション」が地方課題の解決に繋がるのか、コロナ禍でポテンシャルは高まっていくのか、和歌山県主催「ワーケーション・リーダーズ・サミット(WLS)」期間中、サブスクリプション型コリビングプラットフォーム「HafH」を展開する(株)KabuK Styleのご協力のもと、「HafH」連携施設取材を通じて考察していきます。

前編では、ワーケーションの聖地:和歌山「南紀白浜」の拠点となる「ホテル/レジデンス」を取り上げました。
後編では、従来型宿泊施設とは異なるコミュニティ拠点として、「宿泊」以上の価値創出に注力される「ゲストハウス」をご紹介します。

Guest Living Mu 南紀白浜

 

コンセプト:”SIMPLE&FLEXIBLE&RELAX”  ネーミング:”Mu=無”

自由な旅人がSIMPLEに泊まり、FLEXIBLEな空間で、偶発的な交流が生まれる。
さり気ないホスピタリティで心からRELAXし、帰り際に、また来たくなる宿

【HafH拠点特集 -Owner’s Voice -】HafH和歌山拠点「ゲストリビング Mu 南紀白浜」のご紹介

≫ ゲストハウスの開発経緯

大阪で不動産事業を展開される(株)WILLING JPの新規事業として、ゼネラルマネージャーの小谷氏を筆頭に宿泊事業を立ち上げ、築40年超のリゾートマンションをリノベーションし、2019年3月に開業。

≫ リノベーションポイントとワーケーション対応

2LDKマンションタイプをそのままリニューアルしたコンドミニアムと、それを細分化したドミトリーを含む全17室(未改修室8室)へとリノベーションし、リゾートマンション時からの源泉かけ流し温泉大浴場を活かしつつ、ゲストハウスとして顧客ニーズの多い24時間利用可能な共用シャワールームを新設。

そもそもワーケーション目的で開発したわけではないが、コロナ以前の今冬、新たな集客プログラムの一つとして、ワーケーション対応も検討されていたそうです。
1Fロビー、2Fシェアリビング、そしてユーザーの意見に基づき新設されたワークルームをコワーキングスペース化し、春のスタートに向けて準備していた矢先に、コロナとなってしまった。
そんな背景の中、オープン当初にネットワーク参画している「HafH」と連携し、ワーケーション対応についてコラボレートしているとのこと。

*ワークスペース利用もできるエントランスロビー

*マネージャーの小谷氏 オリジナルグッズを手に

現状、ワーケーション利用者は、コンサルタント系、ライター系、WEBエンジニア系のフリーランスが多いそうですが、今後は同社の母体である不動産業界をはじめとする、企業系ワーケーション利用も積極的に誘致したいとのこと。
施設の特徴として、宿泊者同士の交流促進も大切にされているものの、企業系ワーケーションとなると、個人情報等の観点から、クローズドな環境を希望される方も多い。
コロナ禍のワーケーション対応として、ロビー空間やラウンジなど、既存のコミュニティスペースを急遽ワークスペース化することが多い中、限られたスペースで汎用性の少ない専用ワーキングスペースを作るのは、施設側の負担も大きいと感じます。
しかし、ここでは、大きなダイニングテーブルと強いWi-Fi環境が整うコンドミニアムの客室を、クローズドなワークスペースとして貸し出すなど、独自の対応策を打ち出されていました。

*RCマンションのため各客室にルーターを配置しており、Wi-Fi環境は盤石。オンライン会議もスムーズ!

*海を見ながらワーケーション!

*自社独自の「ワーケーション体験プログラム」を推進中!

≫ 地域の魅力発信HUB

取材を進める中で印象的だったのは、施設の特徴として「白浜」売りはしていないということでした。
メジャーな観光プログラムと宿泊施設で完結する「一泊二食 2名様~+温泉付き」のような従来型とは差別化し、一人でも誰もが自由にフラッと旅をして、リラックスできる新しい旅の在り方を打ち出したいと、全スタッフでゲストを友人や家族の様に出迎え、時間がある時は、紀南エリアの穴場スポットへもご案内しているそうです。白浜から広がるエリアの魅力発信HUBとして、ここだから経験できる偶発的な出会いや発見を大切にされている印象でした。

どんなに豊かな空間でハードが充足されていても、必ずしもリピーター化には繋がるとは限らない。
逆に、ハードよりもソフトの魅力が上回る施設の方が、末永く愛される施設なのかもしれません。
白浜単体ではなく、ここを拠点に幅広く広がる地域のHUBとなることを願い、ゲストを「お帰り!」と出迎えて貰えることが、第二、第三の故郷へと繋がっていくのだと思いました。

*また「帰ってきたい!」と思うホスピタリティ

*帰るのが名残惜しくなるお見送り・・・

終わりに

「通勤」が当たり前だったコロナ前、「ワーケーション」や「多拠点居住」が身近になるのは、もっと先の未来だと思っていました。しかし、大多数が「在宅勤務」を経験した今、固定の働く場への価値観は変わりつつあり、企業や個人が自分事として関心を持ち始めている印象です。

第二、第三の故郷を作る「HafH」のサービス(サブスクリプション型コリビングプラットフォーム)と、(株)KabuK Styleが目指す「多様な価値観を多様なまま許容する社会」には、個人的にも大変共感すると共に、自身の生業として従来の「場」や「空間」の在り方を見直すべく、今回の取材にご協力頂きました。

人口減少が進む国内において、インバウンドや外部流入依存だと、今回のコロナしかり打撃も大きく回復も遅くなる。日々、流動的に人を動かしフラットな社会を目指すことが、結果的に地方創生や都心vs地方などの都市間構造の改善にも繋がるように思います。
現状、固定化される「場」の機能は分散化し、「移動」手段は高速かつ低価格化することで、より高頻度に移動しやすくなっていくのではないでしょうか。コロナ禍で(株)KabuK Styleと(株)JR西日本イノベーションズが提携して行う、実証実験はまさにその先駆けだと思いました。
*「JR西日本×住まいサブスク」サービス 実証実験

また、取材させて頂いた2社のお話しからも、宿泊施設は「泊まる」機能のみならず「交流」を促進し、各地へのリピート化へ繋げていく地域のコミュニティHUBとなることが重要であることと、ハードとしての改善はもちろん重要ではあるが、常時更新されていくソフトも、更に重要になっていくのだと感じました。
交流機能による「地域コミュニティ創造」はもはや付加価値ではなくなり、第二、第三の故郷となる各地で生まれる「ヒト消費」の創出へと繋がることが、これからの未来の消費の在り方として、幸せで満足度の高い共感消費となるのかもしれません。

「場所」に縛られずに住まいや働き方を自由に選べる時代が当然となれば、もっと一人ひとりが得られる経験価値も高まり、自身の成長や仕事での幅も広がるのではないでしょうか。
それは、企業にとってもプラスであることは、WSLに登壇されていた各社、先駆者の方々のお話しからも明らかでした。「働き方」は「暮らし方」の一部であり、その積み重ねはその人そのものを表す「人生観」に繋がっていきます。コロナで得た気付きを通じ、個人としても、企業としても存続させることが、まずは最初のステップなのではないかと思います。

最後に、(株)KabuK Style大瀬良代表の言葉をお借りして・・・

今回、取材を通じ、私自身がワーケーションを経験し、非常に多くの気づきを得られました。
ご協力を頂いた皆様へ、この場を借りて御礼申し上げます。

次回は、都内でも拠点が拡大する「HafH」連携施設の取材レポートをお届け予定です。
地方でのワーケーションに対し、「シティーワーケーション」はどんな違いがあるのか、対比しながらお読み頂ければ幸いです。

画像提供:ゲストリビングMu南紀白浜 、(株)KabuK Style

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岡崎 広子

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プランナー
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