コロナ禍の時代に子どもの感性を育む ― 植物編

Julia(周虹)
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Julia(周虹)

寒い日とコロナ禍が続いていますが、みなさんはお元気に過ごされていますか?

私は去年、育児休暇から仕事に復帰しましたが、コロナ禍の影響でほとんど在宅勤務に。おうち時間も長かったので、この一年間は試行錯誤をしながら、家の中で仕事と子育ての両立に奮闘する日々でした。
今回は、おうちでできる「子どもの感性を育む」ために我が家で行った試みを紹介します。

えっ?ずっと入場者数制限中?!

長引くコロナ禍の影響で、あまり頻繁に外出したり、混雑する場所に出かけたりしませんでした。1歳の娘がいるため、なおさら気を付けています。

去年、緊急事態宣言が解除されて以降は、久しぶりに娘を連れて、生き物と触れ合える動物園や水族館に行きたかったのですが、どこも入場者数を制限しているため、週末の整理券予約はなかなか確保することができず、行きたくても行けない状況が続きました。

また、冬に入ってから、気温がぐっと下がり、娘とふらっと出かけられる公園での遊び時間もだいぶ減ってきました。このまま家にこもってしまうと、娘のエネルギーが発散しきれなくて、一日の中で何度もテレビや動画コンテンツを観たい!とせがまれました。

今の時代、デジタルコンテンツは手軽だし、面白いものがたくさん溢れています。子どもがぐずる時に見せるとしばらく静かになるので、ついつい頼ってしまい、仕事が終わってから夕食やお風呂準備の忙しい時間帯には、テレビや動画コンテンツを見せることも……。
だって、大人だって疲れ果てて、泣き出したい時はありますからね(心の声が漏れた……)。

でも、動画コンテンツは視覚や聴覚に楽しい刺激を与えてくれる一方で、子どものコミュニケーション能力を伸ばすことには繋がりにくいと、私はずっと気になっていました。自分の理想を言うと、子どもと言葉や触れ合いでコミュニケーションを取りながら、生き物や自然の観察、音楽、体を使った遊びを通して、子どもの興味と可能性を広げて、感性を高めていきたいと考えています。

そんな中、外にお出掛けし辛い世の中ですので、家でもできることをやってみようと決めました。

ママが大好きな唐辛子を一緒に育ててみよう!

動物や植物などの生き物たちは毎日成長、変化しています。そんな動植物を身近で見てもらい、自然に「これはなんだろう?」「不思議だね!」「面白いね!」というワクワク体験を感じてもらい、豊かな心を育てられないかと考えました。また、自分がその成長に関わっていると、生き物たちに優しく接することもできるようになると思います。

我が家には既に猫2匹がいますので、動物との触れ合いは毎日しています(猫ちゃんはあまり娘に近寄りたくないみたいですが、笑)。今回は、娘と一緒に「辛い唐辛子」の栽培にチャレンジすることにしました。

なんで辛い唐辛子なのかと思うでしょう?それはね、私が食べたいからです(ママの私欲?)。
近所のスーパーで辛い唐辛子が出回っていないので、辛い料理が大好物な私は自分で作ってみたかったのです。それに、子どもの体験にママのやりたいことも反映されると、やる気倍増ではないかと思いました(笑)。

あと、客観的な理由を言うと、唐辛子は簡単に栽培できて、水やり以外に手間暇がかからず、最初のチャレンジとしてはスタートしやすいからです。

ということで、去年の春に、娘と一緒に唐辛子の栽培を種からスタートさせました。

愛情いっぱい見守り、「いらない」を捨てずに活用する

唐辛子は根が浅い植物のため、そこまで大きなプランターは必要ありません。ただ、余裕のある成長環境を与えたほうが、唐辛子も栄養をいっぱい吸収して、のびのびと成長できると思いますので、家にある深さ20cm・直径30cm程の、ある程度大きさに余裕のあるプランターを選びました。

梅雨になると、芽が出てきました。元気そうな株を残して、周りの株を間引く必要があります。せっかく芽が出たのに半分くらい間引きしてしまうのがもったいないなぁと思いますので、間引いた株を別にプランターに移植しました。娘は「葉っぱ」「緑だね」などと口にしながら、私の作業をじっと見ていました。

成長の環境を整えたら、唐辛子は一気に大きくなります。背が伸び、葉っぱが増えて、白い花も咲きました。その時期に、株の近くに支柱を立てて、土に追肥をします。

あとは、ひたすら2日毎に水やりをするだけ。

(梅雨時期に1歳の娘が水やりをしている様子)

夏に入ると、唐辛子がぐっと背伸びをして、葉っぱもモリモリに増えてきました。実は、あまり高く伸びすぎると、食べたい場所である「実」が少なくなってしまいます。そこで、私は枝の剪定をして、娘には若い葉っぱを摘み取ってもらいました。

若い葉っぱはみずみずしくて、爽やかな香りをしているので、捨てずにその日の料理に使いました。すりおろしニンニクで軽く炒めるととてもおいしいです。おひたしやスープもおすすめ。ちなみに葉っぱは辛くありません(笑)。

自分で育てている唐辛子から取った葉っぱが料理になって、食卓に並ばれたことを見て、娘は興味を持って自分から指で取って口に入れました。「美味しい!」とまでは言わなかったですが、笑顔でモグモグしていました。
(独特な味でしたので、その後口から「ペー」と出しましたが、味わってくれただけでもう十分かなと思っています。)

植物の生長を間近でみる体験で得た気づきと感動

去年の夏はとても暑かったですね。でも、唐辛子は暑い気候を好む植物ですので、きちんと水やりさえすれば、元気に育ってくれます。

真夏は1~2日毎の水やりが日課でした。

(夏ごろに娘と水やりしている様子。すっぴんなので、私も顔を隠させて頂きます。笑)

夏の後半になると、小さな白い花がいっぱい咲いて、唐辛子の実がどんどん増えてきました。

青い実でも食べられますが、とても辛いので、赤くなるまで待つことにしました。娘と一緒に唐辛子の数を数えます「1、2、3・・・」大きな数を数えるにはまだ難しそうでしたが、娘はなんとなく楽しそうに私の真似をしていました。

毎日、唐辛子の数を数える中で、赤い唐辛子や葉っぱの下に隠れたお花を発見したら、指をさして、「赤だ!」「お花だ!」と教えてくれるようになりました。

(9月後半の唐辛子です。赤く染まった実が増えてきました。)

残暑が過ぎ、秋の気配が感じられてきたら、いよいよ収穫の時期です。赤くなった唐辛子は、収穫した後ベランダで乾燥させます。ざっと数えてみたら、100本以上収穫できました!

本当に辛いので、この唐辛子を少しずつゆっくり賞味していきます。我が家では約1年分の消費量になります(幸せ~♡)。

(秋の最後に収穫した唐辛子を乾燥している様子。)

唐辛子を収穫する時期にも、いろいろな発見がありました。

たくさんの唐辛子を並べて、色や、大きさ、形を比較しながら、娘が「うわ、赤いね!」「小さいね!」「いっぱいある!」と感じたことを素直に教えてくれました。

(収穫した唐辛子の大きさや色はさまざま~)

大人にとっては当たり前で、気づかないような小さな変化でも、子どもは植物の成長やささやかな違いに感動し、言葉や表情、行動を通して、一生懸命表現してくれます。それは、豊かな感性を育てることに繋がっていると感じています。

このように、五感を使って植物を見て、触って、嗅いで、味わったことによって、きっと今後の子どもの創造力、洞察力、コミュニケーション力につながると信じています。

また、一連の唐辛子栽培は、小さな子ども(基本的に話を聞かないし、自分がやりたいことしかやらない)との体験でしたが、一緒に約半年かけて栽培する中で、日頃のプランニング業務への気づきを得ました。

① ターゲットに興味を持ってもらうために、まずは自分から愛を持って企画を考えること。

唐辛子の栽培は、完全に私のワクワクする企画に、娘を巻き込んだものでしたが、結果2人で一緒に楽しく栽培を続けることができました。

仕事でも、ただウンウンと頭を抱えてアイデアを模索していると、企画書などに難しい説明を盛り込んでしまいがちです。そういう時こそ原点に戻って、自分でもやってみたいと思うシンプルで楽しい企画であれば、多くの人を巻き込みながらワクワクを感じる提案に繋がると感じました。

② モチベーション維持のために、こまめなゴール設定が必要。

唐辛子の栽培からというと、日ごろの水やり作業は子どもにとってはつまらないので、若葉を摘み取って料理にするとか、お花の数を数えるとか、唐辛子の実を収穫するとか・・・要所要所にゴールを設定し、子どもに小さな「達成感」を味わっていくことで、継続的な「やる気」に繋がるではないかと思いました。

③ 初めから終わりまで、全体を見通した広い視野を持つこと。

栽培体験のクライマックスとも言える「収穫」だけを子どもにやってもらうのではなく、最初の空っぽの植木鉢に土を入れることから、種まき→水やり→剪定→収穫→そして最後の落ち葉の掃除まで、全部子どもに参加してもらいました。

収穫の楽しみだけではなく、唐辛子の成長を最初から最後まで見守ることで、ただ美味しいだけではない愛情や感謝を、唐辛子の味から感じてもらえるようになると思います。全体を見通す広い視野を持つことは、ただ一面的ではない「感動」を生み出すのに不可欠なものだと感じました。

いつか、娘と一緒に汗をかきながら、辛い唐辛子を使った料理を食べることを楽しみにしています(笑)。

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Julia(周虹)

Julia(周虹)

自由思考プランナー
枠にとらわれない自由な発想

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